日本外交の危機!河野外務大臣のスピーチ内容

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<症状が悪化する平和ボケ>

日本人の「平和ボケ」はどこまで進むのだろうか。

拉致問題や北方領土・竹島の領土問題など、日本が不当な立場になっている事柄はどんどん既成事実化し解決は難しくなっている。さらに北朝鮮が核・ミサイルで「日本を海に沈める」と脅しをかけてきたり、中国は尖閣諸島を「核心的利益」として領土的野心を隠そうともしない。

そのような中、日本のメディアの話題の多くは、相撲界や不倫などのスキャンダルに奔走している。

原因は国民が求めているからそうなっている面は否定できない
改めてというか、ますます「平和ボケ」は進んでいると言って良いだろう。

「平和ボケ」な人間の1番迷惑なところは、何か問題が起こったときに国や社会などの周りの責任にすること。

置かれている状況に自覚がなく、トラブルに対する事前の対策を怠っていることを棚に上げて「なぜ守ってくれなかった」と訴える。
自分で自分を守れる能力のある者は、自分でそうしなくてはならないのは当然だ。
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<河野外務大臣の話>

さて、先日河野外務大臣のスピーチを聞いた。
茅ヶ崎で行われた後援会「TMネットワーク」の新年会にて。

そこで語られたのは日本外交の危機

特に印象に残ったのが次の話。

過去5年間で日本の外務大臣が渡航した国はのべ97カ国。
中国はのべ262カ国。

日本は国会での答弁の必要があるので、そのために日本に帰ってこなくてはならないが、中国(王毅外相)は、その義務がないのである意味年中世界を回ることだってできる。

政府の途上国援助(ODA)基準を定める経済協力開発機構(OECD)に中国が加盟していないことから中国は国際ルールにしばられない。
それもあって、中国が使うお金は、世界中のほとんどで日本のODAと民間投資を足した金額の何倍も大きい。
インドネシアの外相からは、日本の外務大臣があまり訪問しないことを念頭に、初対面から「日本にいて私たちをコントロールできると思うなよ」という趣旨のことを言われた。

そういった経過を受けて外務省に対して日本の外務大臣が最後に訪問した年と大臣名をリストアップしてもらった。
すると全部で300カ国ぐらいある中で、最後に行ったのが「河野洋平」という国がズラリと並んでいたうえ、歴史上訪問したことすらない国もたくさんあった。
特にアフリカや中南米諸国に多い。
先日はバーレーンやモルジブを訪問したが、これは日本の外相として史上初めてのことだった。

以前であれば、日本はお金があったし、お金を出してさえいれば訪問しなくても感謝されていた。
しかし、今では援助金額が減っているうえ中国が急激に存在感を増しているため、日本の存在価値は落ちる一方。

河野太郎外務大臣

(2018年1月8日、茅ヶ崎での河野外務大臣)

以上が河野大臣が語っていた主な内容だ。

このようなことが、日本が国際競争入札や政治力で中国に負けることを招いていると思われる。

世界の国の支持は、正義や公正の観点で決められるのではなく、自国の利益になることが最優先
そういう意味で、現在の国際社会は日本を敵に回してでも、中国を味方に付けたい意向を持つ国か少なくないし、今後増える可能性がある。

国の外交力が端的に分かる例として、台湾と新疆ウイグル自治区、チベットが挙げられる。

台湾は国としてのすべての要素を備えているにも関わらず、国際的には中国の1つだ。

新疆ウイグル自治区やチベットも中国に占領され、激しい弾圧と同化政策が取られても、助ける国は全くない。

外交力というのは国を守るうえで、国の防衛と同じぐらい重要なのだ。

外務大臣が訪問するということは、援助面だけでなくお互いの国の強みを活かして協力したり、考え方や国そのものを理解して親近感を持ってもらう意味でも重要だ。
代行の者が行くのでは、相手の意識も扱いも大きく違う。

<足を引っ張るメディア>

このような外交状況は、本来であればもっと広く国民に知らされ、メディアも国民を応援するべきなのだが、実際はそうなっていない
今回初めて知った人も多いのではないか。
しかも信じられないことに足を引っ張ることも平気で行っている

河野大臣は、外国を回る際、バックパッカーのように深夜の0~3時の乗り継ぎが既に3回、空港で5時間も待たなくてはならないこともあったと述べている。
特に発展途上国は飛行機の便数も少ない。
外務大臣もスタッフも民間商用機を使わないといけないのは大きなハンディキャップだ。

だから効率的に回るために外相専用機が欲しいと言ったら、産経新聞はそれを「おねだり」と表現した
「おねだり」とは子供がだだをこねて言うときの表現だ。

私もこの記事を読んだ瞬間、目を疑った!

しかも普段、冷静な報道が多い産経新聞だということにも驚いた。
産経新聞の見識、常識、能力、全てを疑わなくてはならない信じられない記事だ。

河野大臣が抗議をして、次のように語ったのは十分うなずける。

「経費を削減しながら訪問国や(海外要人との)会談の数を1つでも増やそうと、外務省一丸となって努力している。理解をして(記事を)書いているなら倫理にもとるし、理解しないで書いているなら能力に問題があるといわざるを得ない」

メディアが政府の足を引っ張るのは日常のことであり、彼らはそれが務めと思っているとしか思えないが、さすがに「おねだり」は白を黒と言っているのであり許すことはできない。

ただし、意外にも朝日新聞DIGITALは、河野氏の話の一部を報じたし、私が知る限り毎日新聞電子版でも報じられた。

(朝日新聞DIGITAL)2018年1月8日。

「『日本外交、かなり危機』河野外相、中国の攻勢を念頭に」

https://www.asahi.com/articles/ASL184Q7KL18UTFK003.html

これは非常に良いこと。
朝日新聞も政治面でまともに事実だけを報道することがあるんだという希有な事例だ。

<日本に良いことを応援するのは日本人として当たり前のこと>

いくら電話で24時間話せたり、ネットで顔を見てミーティングできる時代になっても、いやそういう時代だからこそ、実際に会って膝をつき合わせて話をするというのは重要なことだ。
個人間でもビジネスでもそうだ。
とりわけ外務大臣が訪問するというのは、それだけでも意味があるといって良いぐらいだろう。
先のインドネシア外相の話ではないが、
「忙しいから行かない」
というのは、
「あなたの国は優先順位が低く重要視していない」
と同じ意味になる。

多くの国と協力関係を築き、真の友達になり、日本を好きになってもらうことは良いことだらけだ。
特にライバルは利害が対立することが多い中国だ。
援助金額や訪問回数で勝てないかもしれないが、友好の質を高めてできる限りのことはするべきだ。

例えば、今問題になっている韓国の日韓合意の破棄問題で、もし中国が明確に韓国側に付いた場合、国際世論がどう転ぶか分からない。
そうなればまた国連でとんでもない決議がなされないとも限らない。
そういう意味で、日本人として河野大臣の活動を応援するのは当然だろう。

ところが、マスコミはもちろん国民の多くは無関心又は冷ややかに見ていることが多い。
よくある視察に名を借りた観光旅行や物見遊山と一緒にしているのではないか?
国民はそこをしっかり区別して理解する必要があるだろう。

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